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2018 夏号 SUMMER 通巻591号 平成30年6月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

トップアスリートの流儀「スポーツ立県福岡」を目指して

素根 輝(そね あきら)写真「強くなるにはとにかく練習しかない」

ライバルは自分自身。
前に攻め続けるのみ。

久留米から世界に羽ばたく
女子柔道界期待の星。
日本一に輝く高校生が目指すのは、
東京オリンピックの金メダル。

柔道女子78キロ超級日本代表

素根 輝
(そね あきら)

素根輝
Akira Sone

2000年、久留米市生まれ。南筑高等学校3年生。攻めの柔道を持ち味に今年、全日本選抜柔道体重別選手権大会女子78キロ超級で連覇。さらに無差別級の皇后杯全日本女子柔道選手権大会で初優勝という伸び盛りの超新星。「久留米の食べ物は全部好きです。小さい時からずっと住んでいるのでやっぱり落ち着きます」。

素根 輝(そね あきら)選手(写真左)と朝比奈沙羅(あさひな さら)選手(写真右)との決勝戦の様子

平成30年全日本選抜柔道体重別選手権大会女子78キロ超級 朝比奈沙羅(あさひな さら)選手(写真右)との決勝戦 写真提供:東建コーポレーション株式会社

 

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が近づく中、福岡県から世界で活躍するアスリートが続々誕生しています。今回紹介するのは、久留米市出身の素根輝選手(女子柔道)。日本一という結果を出して世界へ猛アピールする17歳。高校生最後の夏、道場で汗を流す素根選手に話を聞きました。

「もっと勝ちたい」という思いが練習への意欲に

─ 柔道を始めたきっかけを教えてください

素根:父と3人の兄が近所の道場で柔道をしていて、私も小学校に入る前から練習を見に行っていました。そこで楽しそうだなと思ったのがきっかけです。最初は遊びのようなもので、受け身や基本的な練習ばかり。父が厳しくて、とにかく鍛えられました。きつかったですが、何だか楽しかったんですよね(笑)。

─ 柔道が面白いと思ったのはいつですか?

素根:同級生の子たちと練習するのも楽しかったんですが、本気で実感したのは、小学生のころに大会で初めて優勝した時です。地元の小さな大会だったんですけど「勝つことって楽しい。もっと強くなりたい!」と思いました。

─ 憧れの柔道選手はいますか?

素根:階級は違いますが52キロ級の中村美里(なかむら みさと)選手(リオデジャネイロオリンピック銅メダリスト)です。足技が速く組手も上手で、勝負強さもすごい。小さいころから中村選手に憧れていて、「近づきたい。もっと上に行けるように頑張らなきゃ」と思っています。

前に出る、その姿勢こそ自分らしさ

─ 金鷲旗(きんしゅうき)(※)での優勝おめでとうございました。決勝戦の5人勝ち抜きは史上初。どんな気持ちで臨みましたか?

素根:あの時は、何人私に回ってきても全部自分がやり抜くんだという気持ちの準備ができていました。今年の体重別選手権や全日本選手権で優勝できたのも、金鷲旗の時の“後が無い状態で勝ち抜けたこと”が自信になっていたからだと思います。精神的にも強くなれたのかな、と実感できた大会でした。

─ 気持ちを高めていく時のルーティンはありますか?

素根:ルーティンは無いです。試合前は、自分自身に「自分が一番強い」と言い聞かせています。音楽を聴いて気持ちを高めていく選手もいますが、私は静かに集中していくタイプです。待ち時間が長い時や決勝戦など、会場の空気が変わっていくこともあるんですが、集中して自分を見失わないようにしています。

─ 試合ではどんなところを見てもらいたいですか?

素根:勝つという結果にこだわって、前に出ることを常に意識しています。そんな「前に出て、最後まで攻め続ける姿勢」を見てもらえたらうれしいです。

─ 現時点の目標やライバルは?

素根:最終的な目標は、東京オリンピックで金メダルを獲ることです。世界で戦うにはまだまだ足りないものがたくさんあります。パワーだったり、技だったり、組手だったり……。逆に言えば伸びしろがあるということなので、そこをしっかり伸ばしていきたいと思います。だからライバルというより自分自身に勝つことが大事。「オリンピックの金メダル」という結果を目指して頑張ります。

─ 地元の声援で後押ししたいです

素根:福岡の試合では、特にたくさんの人が応援してくださるので、頑張る気持ちが湧いてきます。仲間がいるからこそ強くなれるし、たくさんの人の支えのおかげで強くなれたと思っています。

─ 県民の皆さんにメッセージをお願いします

素根:いつも大きな声援をありがとうございます。頑張って必ず東京オリンピックに出るので、これからも応援よろしくお願いします!

(※)抜き勝負の団体戦で行われる高校柔道における三大大会の一つ。毎年7月に福岡県で開催 

 

柔道部顧問 松尾浩一(まつお こういち)さん

 

一人一人が輝くチームから尊敬できる選手が生まれる

 私は選手の“良いところを伸ばす”指導を心掛けています。練習の時もじっと見てあげて、本人が「今の良かった!」と、つかんだ瞬間に「いい感じだぞ」と声を掛ける。すると自信になってグッと伸びていくんです。

 いつも部員に話をするのは「一人一人が主役だ」ということ。金鷲旗の時も全員が主役になって決勝まで進めたことを素根が理解して、一層の力を出してくれました。一緒に頑張る仲間がいるから強くなれたと素根は分かっている。彼女が後輩の相手を進んでやる姿も皆が見ています。そんな素根の活躍を私はもちろん、チームの誰もが楽しみにしています。

柔道部顧問 松尾浩一(まつお こういち)さん
 

福岡県の取り組み

 

各国のアスリートが福岡で合宿!
〜東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて〜

 県内の市町村と連携し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の事前キャンプの誘致に取り組んでいます。10市町でキャンプの実施が決定・内定しており(平成30年5月現在)、すでに県内でキャンプを行ったチームもあります。

 県では、キャンプで来県する各国のトップアスリートと地域の方々との交流を進め、青少年の健全育成、本県の魅力発信や観光振興につなげるなど、スポーツをキーワードとした地域の活性化に取り組んでいます。

ナウル共和国の柔道チームの皆さん

ナウル共和国の柔道チーム(平成30年2月柳川市、みやま市で)