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2018 春号 SPRING 通巻590号 平成30年3月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

きらめきマイタウン 新宮町

 

相島少年消防クラブ

 

相島の安全安心と未来を担う
頼もしい中学生たち

 相島では、かつて、男性たちが漁に出ている間に火が上がり、女性と子どもだけでは消火活動を十分に行えず、島の大半が焼失する大火災がありました。これを教訓に、「自分たちの島は自分たちで守る」と立ち上がったのが、島の中学生たち。昭和23年に現在の「相島少年消防クラブ(通称BFC)」につながる防災活動を開始し、70年間受け継がれています。

 主な活動は、島民の防災意識を高めるために行う週に4日の夜回り活動と、出初式や運動会でのポンプ操法のお披露目。夜回り活動は生徒たちだけによる自主活動で、「火の用心」の声出しや野焼きの火の後始末の確認などを行います。「ポンプ操法は難しく練習も大変。でも、小さい頃から見て憧れていた。集大成の運動会では、これまでで一番美しいポンプ操法を見せたい」と、中隊長の三舩一瑳(みふねいっさ)さんと小隊長の丸山京汰朗(まるやまきょうたろう)さん。伝統あるクラブの一員として、大切な故郷・相島の安全安心を守るため日々奮闘しています。

新宮中学校相島分校の全生徒が隊員となるBFCは平成28年には防災功労者内閣総理大臣表彰を受けた

新宮中学校相島分校の全生徒が隊員となるBFC。現在は、引退した3年生を除く7人で活動している。平成28年には防災功労者内閣総理大臣表彰を受けた

 
学校活動の一環として行っているポンプ操法

学校活動の一環として行っているポンプ操法。本土から招く消防士や地域の方による指導を受け、本格的に訓練を重ねている

生徒たちは活動を通して、自主性や規律などを身につけ、大きく成長している

地域防災活動の中でも、BFCのように生徒主体で行われているのはまれ。生徒たちは活動を通して、自主性や規律などを身につけ、大きく成長している

 

Tachibana All Powers

 

竹林整備で伐採した竹を使って
ふるさとに灯を

 町の東部にある三城岳(さんじょうだけ)は、かつてミカン栽培が盛んでした。しかし、後継者不足のためミカン畑が現在では竹やぶに。この状況を「何とかしたい」と地域の人たちが発足したのが「Tachibana All Powers(通称TAP)」です。竹を伐採して散策路を整備し、山頂に展望台を築く計画を進めています。「展望台造りは九州産業大学が協力してくれています。山頂までの道はまだまだ時間がかかりますが、完成したら観光客を呼び込みたい」と会長の堀田晴夫(ほりたはるお)さん。過疎化が進む地域のために、活性化への糸口を探しています。

 また、伐採した竹を有効利用するため、「竹灯籠まつり」を開催。昨年は、立花小学校の児童や近隣住民の協力も得て6000丁もの竹灯籠を作り、集落を温かな光でいっぱいにしました。今後は竹を粉砕して肥料にするなど、さらなる有効活用法を検討しています。

TAPのメンバーは20~70代までの25人

TAPのメンバーは20~70代までの25人。平成28年に結成され、竹灯籠まつりの認知度も少しずつ高まっている

 
広場や神社の境内、道路の両側に…といろいろな場所に置かれる竹灯籠

広場や神社の境内、道路の両側に…といろいろな場所に置かれる竹灯籠。さまざまなデザインが施されており、眺めているだけでも楽しい

伐採した竹を利用して竹細工や流しそうめんなどを小学生たちと楽しんでいる

「竹灯籠まつり」のほかにも、伐採した竹を利用して竹細工や流しそうめんなどを小学生たちと楽しんでいる

 

布の絵本製作ボランティア
ファンタジア

 

温かい手作り絵本を
子どもたちのために

 22年前に発足した「ファンタジア」は、布の絵本を製作し図書館に寄贈するボランティア団体。9人のメンバーのうちリーダーである内山加代美(うちやまかよみ)さんを含む3人は発足当時から参加しており、寄贈した絵本は100冊を超えています。一針一針思いを込めて作られた絵本は、どれも布と手作りの温かみを感じられるものばかり。細かい仕掛けなどが施されたものも多いため、壊れてしまったり小さな部品がなくなったりすることも多いのですが、そのたびに修理をしながら大切に使われています。

 絵本製作のほか、年に一度新宮町立図書館が開催し、メンバーが講師を務める「布の絵本の講座」も好評。「縫い物が苦手なお母さんが少しずつ上手になっていって、一緒に来た子どもが作品をうれしそうに持って帰る姿を見るとやりがいを感じます」と内山さん。「好きじゃないと続きませんよ」と笑顔で語ります。

新宮町立図書館では、「ファンタジア」の作品の一部を閲覧することができる

左から3人目が内山さん。新宮町立図書館では、「ファンタジア」の作品の一部を閲覧することができる(貸し出しは団体での読み聞かせなどに使用する場合のみ)

 
「じごくのそうべえ」(童心社)の手作り絵本

「じごくのそうべえ」(童心社)の手作り絵本は完成までに3年かかったという大作。生地や縫い方の工夫から生まれた立体感で、物語の迫力が増している

触って遊べる楽しい仕掛けのある絵本やおもちゃがいっぱい

小さな子や障がいのある子でも、触って遊べる楽しい仕掛けのある絵本やおもちゃがいっぱい

 

相島ドリームワークス

 

春の風物詩「相島!春フェスタ」で
相島の魅力と元気を発信

 今や相島を代表する毎年恒例のイベントとなった「相島!春フェスタ」。「島めぐりツアー」や「漁船クルージング」、「お魚つかみどりコーナー」などさまざまなイベントが行われ、島には町内外から約800人の観光客が訪れます。その企画・運営を行っているのが「相島ドリームワークス」です。入会の条件は“相島の活性化”を願う者であることのみ。そのため、平成25年の発足後、メンバーは自然と増え続けており、それぞれが自分の仕事や趣味、得意分野を生かして「春フェスタ」を盛り上げています。

 「最近は猫で注目されているけれど、それははやりもの。猫ブームが終わっても人がたくさん来てくれて、島がもっと元気になるようなイベントをつくっていきたい」と代表の三舩清和(みふねきよかず)さん。「島を好きになってもらい、移住してくれる人も増えてくれれば」と願います。

個性あふれるメンバーが力を合わせて「春フェスタ」を盛り上げている

「誰かのちょっとした思いつきが企画として実現することもある」と話す代表の三舩さん(右から2番目)。個性あふれるメンバーが力を合わせて「春フェスタ」を盛り上げている

 
相島の中学生たちが史跡や絶景スポットをガイド

「島めぐりツアー」では、相島の中学生たちが史跡や絶景スポットをガイド

「お魚つかみどりコーナー」は毎年大人気

「お魚つかみどりコーナー」は毎年大人気。「もっと大きいの!」、「その魚じゃなくて!」など、参加者の家族からの声援がおもしろいのだとか