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2018 春号 SPRING 通巻590号 平成30年3月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

未来に向けて育てて、活かす、森林づくり

海山の幸に恵まれ、豊かな食文化を誇る福岡県。
このコーナーでは、福岡県の農林水産業に従事する「人」と、
旬の福岡の「食」、そして、それらを「支える」取り組みなどを
4回にわたりお伝えしています。
最終回は、林業の世界に飛び込んだ若き担い手を訪ねました。

これからの担い手

全くの未経験から、林業のプロを目指す前村浩史(まえむらひろふみ)さん

初めての林業に挑戦

 森林の面積が約55%を占め、県下でも有数の林業地域とされる、朝倉市、筑前町、東峰村。それら一帯の林業を担う朝倉森林組合で、前村浩史さんが働き始めて2年になります。前村さんは、沖縄県の出身。ここへ来るまでは沖縄のリハビリ専門学校で学んでいましたが、東峰村に暮らす祖母に勧められて林業の世界へ。それまで経験のなかった新たな仕事に挑んでいます。

 現在は、先輩技術者の下で、樹木の伐採作業の補助やシカによる食害を防ぐ防護ネット張りなどを行いながら、福岡県林業労働力確保支援センターが実施する「緑の雇用」事業の研修生として、勉強する日々です。この研修では、未経験者でも林業に必要な知識や技能を身に付けられるよう、きめ細かなカリキュラムが用意されています。この研修を受けることで林業に従事する技術者にとって必要なさまざまな資格取得も可能です。「働きながら資格を取れるのが魅力」と話す前村さんは、今日も実践を重ねながら林業を支える技術者として成長しています。

林業で森林を守る

 昨年7月の九州北部豪雨では、記録的な降雨により、森林の山地災害防止機能を超え、多くの林地が崩壊しましたが、防災・減災を図る上では、森林の機能を持続的に発揮させることが重要であり、間伐などの手入れを引き続き進めていくことが必要です。その意味でも、期待されるのが前村さんのような林業を支える担い手です。「日々覚えることがいっぱいですが、これからも森林を守る林業を頑張りたい」と前村さん。地元の人たちの温かいまなざしに見守られて、今日も彼は地道に森林と向き合っています。

 
伐採した木材を運搬する重機の操作

伐採した木材を運搬する重機の操作も林業に従事する技術者に必要な資格の一つ

樹齢40~50年くらいが木材にするにはちょうど良い大きさ

樹齢40~50年くらいが木材にするにはちょうど良い大きさ。年輪が均等に詰まっているものほど良質といわれる

狙った方向に樹木が倒れていく

倒す方向に向かって切り込みを入れる作業

倒す方向に向かって切り込みを入れる作業は、経験を積みながら覚えるしかない。ベテラン技術者に聞くと前村さんは「筋が良い」のだそう

伐採した樹木は一定の長さに切りそろえる

伐採した樹木は一定の長さに切りそろえる。急斜面での作業は危険を伴うため特に慎重に行う

 
前村さんと朝倉森林組合の技術者の皆さん
根元の部分や半端な長さの木材は薪に加工し販売している

前村さんと朝倉森林組合の技術者の皆さん

根元の部分や半端な長さの木材は薪に加工し販売している