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2017 夏号 SUMMER 通巻587号 平成29年6月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

古都の香りただよう太宰府の夜

悠久の時を伝える古都・太宰府。
その豊かな森にたたずむ九州国立博物館は、
4月から週末の金曜・土曜日に夜間開館を始めました。
それにあわせて、太宰府天満宮の開門時間も延長。
さらに、楼門や参道の鳥居周辺がライトアップされ、
幻想的な美しさを演出します。
昼間とは違う、古都・太宰府の夜の魅力を発見してください。

夜の博物館たんけん隊博物館の“守る”“展示する”“運ぶ”を学ぶ

 4月から、九州国立博物館は毎週金曜、土曜日に午後8時まで夜間開館を実施しています。展示物をゆっくりと鑑賞できる上に、多彩なナイトイベントで来場者を迎えます。

 中でも、人気の高い催しが、バックヤードツアー「夜の博物館たんけん隊」です。普段は見れない博物館の“守る”“展示する”“運ぶ”をのぞくことができる夜間開館限定のイベントです。

 まずは、博物館の“守る”。最初に目に飛び込んでくるのが、丸いタイムカプセルのような文化財用燻蒸(くんじょう)装置。奈良・正倉院で実際に使われていたわが国第1号のもので、今は現役引退していますが、長い間、宝物を害虫から守ってきました。現在、九博では低酸素による酸欠や二酸化炭素によって害虫を駆除する装置を設けています。

 次に向かうのは、博物館の“展示する”を学べるコーナー。展示物が魅力的に見えるように、ケースのガラスは二重構造で、特殊なフィルムが貼られています。美しく見せるためのこだわりはガラスだけではありません。ケースの下にライトを調節する装置があり、展示物により光の当てる角度を微妙に変えることで文化財をより美しく浮かび上がらせます。

 最後は、博物館の“運ぶ”を体験。文化財を運ぶ巨大なエレベーターは、その見た目とは裏腹に揺れもなく、貴重な文化財を安全に運ぶことができます。博物館の仕事の一端を間近に見られる「夜の博物館たんけん隊」は、毎月第1土曜日の夜間開館の時だけ特別に開催しています。

文化財の虫害対策のために開発された装置。タンク内を減圧し、ガスを充満させることによって殺虫する

夜間の九博の外観

夜間の九博の外観。静謐(せいひつ)な森の中にたたずむ姿が美しい

ナイトミュージアム中のエントランス

ナイトミュージアム中のエントランス。夜ならではの明かりの風情が楽しめる

 
 
巨大な二重シャッター

車の排気ガスなど外気を入れない巨大な二重シャッター

文化財用燻蒸装置

かつて正倉院で使われていた文化財用燻蒸装置

バックヤードを見学する様子

展示ケースや大道具が並ぶバックヤードを見学

 
文化財専用エレベーター

文化財専用エレベーター。幅3m、奥行5m、高さ3.8mの巨大なエレベーターで、揺れもなく昇降する

調湿剤を入れるスペース

展示ケースの下には、調湿剤を入れるスペースがある

純水ベースの消化器

有事の際にも貴重な文化財への二次災害を防ぐ純水ベースの消化器。初期消火はこれで行うが、それを超えると、展示室に窒素を充満させて炎を消す

きゅーはく夜の博物館へようこそ
 

ナイトミュージアム体験夜間ならではの魅力を満喫

 他にも、普段は禁止されている展示室でのスケッチを解禁して、仏像を360度好きな角度から描ける「スケッチしナイト☆」を開催。また、月末の金曜日には「プレミアムフライデーライブ」を実施。5月の「二胡(にこ)の夕べ」では、幻想的なコンサートが催されました。

 また、7月11日から9月3日まで、特別展「世界遺産ラスコー展」が開催されます。これは、2万年前のクロマニョン人たちが描いた、世界遺産のラスコー洞窟を展示室に再現するというもの。2万年の時を超え、タイムスリップしてきたクロマニョン人が現れ、クロマニョン語で話すといったイベントにきっと好奇心がかき立てられることでしょう。

 週末の夕方、学校や仕事帰りに気軽に博物館へショートトリップしてみませんか。きらめく星空の下、夜ならではのミュージアム体験で、新しい九博の魅力に触れてみてください。

スケッチしナイト☆の様子

5月27日に催された第1回「スケッチしナイト☆」。スケッチ作品は再現文化財・大日如来坐像

「プレミアムフライデーライブ」での二胡の演奏の様子

5月26日に行われた「プレミアムフライデーライブ」での二胡の演奏。夜ならではの幻想的な雰囲気に魅了された

オープニングセレモニーの様子

4月28日に行われた夜間開館のオープニングセレモニー。夜間開館スタートを祝う点灯式の様子

ロマンチックあじっぱの夜

 昼間は、子どもたちの笑い声や珍しい楽器の音が絶えない、九州の体験型展示室「あじっぱ」。 ここは日本と交流があったアジアやヨーロッパの楽器やおもちゃ、衣装、生活道具を五感で楽しむことができます。 昼間、にぎやかな「あじっぱ」も、夜は異国情緒あふれる幻想空間へ。 夜間開館に合わせて、展示時間も午後8時まで延長されました。 「あじっぱ」で、ロマンチックな夜を過ごしてみませんか。

ロマンチックあじっぱの夜の様子
 

夜間開館イベント問い合わせ先
九州国立博物館 ハローダイヤル 050-5542-8600 ファクス 092-929-3276