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社会の変化に対応した県立高等学校教育の総合的な振興方策について(答申)「第4章 高校教育改革の具体的な展開」

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年9月2日更新

 柔らかで多元的な教育システムを確立し、真に実効あるものとするために、様々な観点を踏まえながら、高校教育の改革を推進することが必要である。

1 社会の変化に対応した教育の推進

 今後も激しい変化が予想される社会において、高校教育は、新たに生起してくるであろう様々な課題に常に柔軟に対応していくことが求められている。


 このため、これからの社会の変化を展望しつつ、教育内容や学科・コース等の枠組みを不断に見直し、その改善・充実を図るとともに、変化により適切に対応することができる新しい学校・学科等の設置を推進するなど、時代の要請に応え得る魅力ある教育の一層の展開に努めることが必要である。


 また、特に少子・高齢化や情報化、国際化の進展、科学技術の発展や環境問題等に柔軟に対応する上で必要な資質・能力の育成を図るため、以下の観点を踏まえながら、最も適切かつ効果的な取組を行うことが必要である。

(1)少子・高齢化の進展に対応した教育

 本県では、少子傾向にある一方で、高齢化が急速に進行しており、本県における人口全体に占める65歳以上の高齢者の割合は、平成10年の16.1%から、平成22年には21.1%に達するものと予測されている。


 これからの高齢社会を生きていく生徒に、高齢社会や介護・福祉についての理解を深め、ボランティア活動等の社会奉仕活動の意義を理解させるとともに、他者を尊重する態度や他人を思いやる気持ち、公共のために尽くす心などを育むことは極めて重要である。


 県立高校では、社会福祉科や福祉に関するコースを設置するとともに家庭科等を中心とした教科教育の中で、高齢化の進展に対応した教育内容の充実を図ってきた。さらに、各学校においては、老人ホームでのボランティア活動を行うなどの取組が実施されているところである。


 今後、これらの取組の一層の充実を図るとともに、幼児や豊かな経験と知識を有する高齢者等の異年齢者と積極的な交流を図ったり、介護や福祉に関する専門家の活用、介護実習・普及センターなど関連施設・団体等との連携を積極的に進めることが重要である。


 また、生徒一人一人が、今後の社会で果たすべき役割と責任を十分に認識し、主体的、創造的に生きていくとともに、その能力を最大限に高めていくことが求められていることから、少子・高齢社会における社会的責任感を意識させる指導上の取組も必要である。

(2)情報化の進展に対応した教育

 今日、情報化の進展は著しく、基礎的な資質・能力としての情報活用能力を備えることが一層重要となっている。


 県立高校では、これまで情報化の進展に対応して、普通科における情報関連のコースの設置、工業、商業に関する学科等全ての職業系専門学科における、情報関連科目の導入を図るとともに、全ての高校に教育用コンピュータの整備を図り、数学・理科・家庭科等における授業の中で情報教育の推進に努めてきている。


 また、高校においては、平成15年度から施行される学習指導要領において、小学校・中学校・高校を通じた系統的な情報教育が重視されており、教科「情報」が新設されている。


 情報化の進展については、日常生活の幅を広げ、豊かにするなど好ましい影響を与える反面、教育上好ましくない情報の氾濫やプライバシー保護の問題、人間関係の希薄化、コンピュータ犯罪等の様々な問題も指摘されている。こうした情報化の影の部分にも十分配慮し、情報化社会におけるモラル・マナー等の育成を図ることが必要である。


 高校教育においては、これからの高度情報通信社会を生きていく上で、生徒が、溢れる情報の中から主体的に情報を選択・活用できるようにすることを重視し、コンピュータや情報通信ネットワーク等の情報手段を主体的に活用し、情報を積極的に収集、活用、伝達・発信するための創造的・実践的な能力と態度を育成することが必要である。


 また、情報化の進展に対応した教育の充実を図るため、各高校を情報通信ネットワークに接続し、それを介して教育センター、大学、図書館等の教育関係機関をはじめとする様々な相手と交流できる環境の整備を行うことが必要である。


 県教育センターにおいては、各種情報機器の充実に加えて、ソフトウェアに関する情報等を充実させるなど、本県における情報教育の中心的機関としての整備を図ることが必要である。


 さらに、情報化の進展に対応した、教職員研修の充実や情報処理技術者等の専門家の積極的な活用、教育内容・方法等の研究の充実を図ることが必要である。

(3)国際化の進展に対応した教育

 社会のあらゆる分野において国際化が進む中で、我が国が成長発展していくためには、国際社会に積極的に貢献していくとともに、国際社会において信頼される人間を育てていくことが求められている。このため、日本の伝統、文化を理解し、尊重する態度や、多様な歴史、文化、習慣等を持った諸外国の人々と協調して生きていくために必要な資質の基礎を培い、日本や世界での諸事象を多角的に考察し公正に判断する能力を育むことが重要である。


 本県では、これまで、国際化の進展に対応し、豊かな国際感覚や実践的なコミュニケーション能力を育成するため、英語や国際理解に関する学科・コースの設置や外国語指導助手 ※13 の活用などの取組を積極的に推進してきた。


 今後は、これまでの取組の一層の充実を図るとともに、各学校において、生徒や地域の実態等を踏まえた、創意工夫を凝らした取組を推進することが必要である。この点に関しては、例えば、地域で行われる様々な国際交流活動への参加や日本の大学等に在学する外国人留学生との交流、情報通信ネットワークを活用した外国の学校との国際交流の推進、生徒の希望による長期海外留学の実施、留学生や帰国子女等の積極的な受け入れなどを行うことが考えられる。


 また、英語検定等の技能審査の成果を単位認定する制度の積極的な活用等も必要である。


 なお、国語教育を充実し表現力の育成を図ることは、語学教育における学習をとおして外国文化に対する理解を深めることとともに、実践的コミュニケーション能力を育成するという点において重要であることから、効果的な教育方法を絶えず研究・実践することが必要である。


 さらに、アジア諸国との交流が活発であるという本県の特色を踏まえ、アジア諸国やオセアニア諸国にも一層目を向けることが必要であり、生徒の学習ニーズ等を踏まえつつ、アジア諸国の言語をはじめ、多様な外国語教育の充実を図ることが必要である。

(4)科学技術の発展に対応した教育

 科学技術の発展は、人間の知的創造力が最大の資源である我が国にとって、豊かな社会を築き、維持していく上で、重要な意義を有している。


 特に、若者の科学技術離れや理科離れ、実体験不足の傾向が指摘される中で、学校教育において、科学技術に関する基礎的認識を身に付けさせるとともに、科学技術についての様々な課題等についての理解を深めさせることが極めて重要となっている。


 このため、高校教育において、生徒に豊かな科学的素養を育み、自然に対する興味・関心や探究心、科学的な見方や考え方、あるいは発見する喜びや未知のものを知ることに対する感動等を培うために、観察・実験、探究活動などの体験的な学習や問題発見・問題解決型学習を一層重視することが必要である。そのために、科学技術に関する専門家等学校外の人材を積極的に活用するとともに、大学や研究機関、企業等との連携を図るなど、科学技術に親しみ学ぶ多様な機会の充実を図ることが必要である。


 また、急速な科学技術の発達等を背景とした産業構造の変化や技術の融合化に対応するとともに、本県における新産業の創出をはじめとする、多様性と創造力に富んだ産業づくり等にも資する人材を育成するため、高校卒業後の高等教育機関における学習も視野に入れ、基礎・基本に重点を置いた教育への一層の改善を図るなど、専門教育の内容の見直しを図ることが必要である。

(5)環境問題に対応した教育

 環境やエネルギーに関する問題は、人類の存亡にも関わる重要な課題となってきている。このため、環境やエネルギーについての理解を深め、環境を大切にする心を育成するとともに、環境の保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的な態度や資質・能力を育成することは今後ますます重要なものになってくる。


 県立高校では、これまで、環境科学コースを設置するとともに、理科・家庭等の教科を中心として環境に関する教育を推進し、併せて、各学校における地域の緑化・環境美化活動への参加などをとおして、環境やエネルギー問題に関心を持ち、行動ができる資質・能力を育成する取組を推進している。


 このように環境問題が極めて幅広い問題であることから、環境教育も自然科学の分野から社会科学の分野まで幅広い領域に及んでいるという特質がある。


 そのため、高校教育においては、各教科間の連携を図りながら、地域の特色を踏まえた環境に関する学習の充実を図るとともに、身近な環境問題から地球規模の環境問題まで、様々な環境にかかる学習機会の提供に努めることが必要である。

2 教育内容・方法等の改革

(1)生徒の主体的な進路学習の支援

 社会の急速な変化の中で、生徒の興味・関心等は多様化し、将来の夢や希望する進路も様々な分野に及んでいる。しかも、中学校・高校における進路指導が、生徒に自らの生き方を考えさせ、主体的な進路選択を促すという点において必ずしも十分には機能していないとの指摘がなされている。このようなことから、高校入学時点で生徒の進路についての意識形成が未成熟であったり、さらに、高校教育をとおしての進路意識形成も十分にはなされず、進路の選択が高校卒業後に先送りされている傾向も見受けられる。


 こうした現状を踏まえ、職業観や勤労観等の醸成を図るとともに、自己の在り方生き方や進路について考える学習活動の推進を図るなど、生徒一人一人が自己の進路を設計できるよう高校における教育内容・方法等のより一層の充実・改善を図る必要がある。

(2)特色ある学校づくりの推進と選択幅の拡大

 高校教育においては、生徒一人一人の個性を最大限に伸長できるよう、教育課程の弾力的運用や学科・コースや類型の設置・充実、入学者選抜方法の改善、生徒の主体的・創造的な取組の促進を目的とするレインボープロジェクト ※14 の実施など、特色ある学校づくりのための様々な取組を行っている。


 今後とも、それぞれの学校が、地域や入学してくる生徒の実態等に配慮した具体的な教育目標を持って、創意工夫を生かした特色ある教育を展開し、一人一人の個性を生かす教育の充実に努めることが必要である。


 また、生徒の主体的な学習を更に促進するために、生徒の特性、進路希望等に応じた適切な教育内容を履修することができるように、多様な教科・科目の設置を図り、生徒の選択幅の拡大を図ることが必要である。


 併せて、高校の特色づくりを踏まえた中学校における進路指導がより一層適切に行われるよう、各高校が、自校の特色について、中学校や保護者等に対して積極的に広報に努めるとともに、高校と中学校の双方が連携を深めるための努力を継続的に推進していくことが必要である。

(3)指導及び評価方法の工夫・改善

 生徒一人一人の可能性を引き出すためには、その基盤として、基礎的・基本的な知識や技能等を身に付けていることが不可欠であり、生徒の主体的な学習を促進し、自ら学習する意欲を培うためのカリキュラムの作成や指導方法の工夫・改善は極めて重要なことである。


 そこで、一人一人の興味・関心を生かした学習や習熟の程度に応じた学習など個に応じた指導の一層の充実に努めることが重要である。また、教育内容や各学校の実態等に応じて、様々な教育方法を適切に活用するとともに、1単位時間 ※15 や学期制の弾力的運用、短期集中型の授業の実施など、一層の工夫・改善を行うことが必要である。


 その際、創造力や問題解決能力を育成するためにも、知識を一方的に教え込むことになりがちであった授業から、様々な教育機器や教材等を活用した、自ら学び、自ら考える授業に積極的に改善を図ることも望まれる。


 また、指導方法の工夫・改善を図る上で、学習の評価が極めて大きな影響を持つことから、学習の結果だけでなくその過程を一層重視したり、生徒の資質・能力や可能性などを積極的に評価するなど評価の在り方を見直す必要がある。


 さらに、ボランティア活動など生徒の学校外における学習活動や他の学校で履修した科目の単位認定を行う制度を積極的に活用するなど、生徒の多様な学習活動を様々な観点から適切に評価するための多元的な評価方法の導入等を積極的に推進することが必要である。

(4)体験的な学習及び教科横断的な教育の推進

 生徒の豊かな人間性や社会性を培うとともに、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質・能力の育成を図るため、生徒や学校、地域社会の実態等に応じて、生活体験、社会体験、自然体験などの様々な体験活動を重視することが必要であり、ものづくり・生産活動、実験・実習、調査・研究の実施など、学校内外における体験的な学習を積極的に推進することが必要である。


 また、教科の枠を越えた課題への対応や獲得した知識や技術を総合化する観点等から、教科横断的・総合的な教育を積極的に推進することが必要である。その際には、教科の枠を越えた教職員の連携・協力の一層の推進を図る必要がある。


 この点については、特に、学習指導要領の改訂に伴い新たに創設される「総合的な学習の時間」 ※16 を積極的に活用し、各学校の創意工夫を生かした学習を実施するなど、教科の枠にとらわれない教育を推進することが必要である。

(5)家庭、地域社会等との連携

 学校と家庭との連携・協力は、基本的な生活習慣や他人に対する思いやりなどの豊かな人間性を育成するとともに、生徒一人一人の興味・関心、能力・適性等を見いだし、伸長を図る上で、極めて重要である。


 また、生徒は、地域社会等において様々な交流・体験をすることによって、より豊かな人間性や社会性、あるいは望ましい勤労観・職業観を身に付けることができるなど、学校内における学習だけでは十分には望み得ない教育効果を上げることが期待できる。


 このため、県立高校では、家庭や地域社会等との一層緊密な連携・協力を図り、家庭や地域社会とともに生徒を育てるという視点に立った教育活動に取り組むことが必要である。

3 特色ある学科・コース等の整備と充実した教育の展開

 柔らかで多元的な教育システムを実現するため、特色ある学科・コース等の整備と充実した教育の展開を図ることが必要である。

(1)普通科及び普通科系専門学科の改善

 県立高校における普通科及び普通科系専門学科においては、高い入学志願状況で推移している学校、学科・コースがある一方で、志願割れを起こしている学校がある。そのような中で、多様な興味・関心、能力・適性、進路希望等を持った生徒が進学してくる状況があり、これらのことを踏まえて、各高校の特色化を図ることが必要である。


 現代のように社会全般が高度化し、複雑化した状況にあっては、基礎的・共通的教育が重視されるため、高校においては普通教育に対するニーズが高まってくることが予測されること、さらに、大学等の高等教育機関への進学率が上昇している状況を踏まえると、進学への対応を中心としながらも生徒の多様な進路希望に対応できる、総合学科を含めた普通科系教育を拡充し、その特色化を中心とした展開を図ることが必要である。


 また、各学校の実態に応じ、それぞれの学校における生徒の学習ニーズや進路希望に適切に対応するために、教科・科目の選択幅の拡大を図り、選択科目を中心とした履修形態への移行を図ることが必要である。


 普通科一般については、普通教科の教育の枠内で、生徒の興味・関心、能力・適性、進路希望等に基づいた多様な履修希望に柔軟かつ適切に応えていくために、文科系・理科系というような現在の類型以外にも多様な類型を設定していく必要がある。


 さらに、より魅力のあるコースの設置を推進するとともに、既存のコースの精選・集約化を図るなどその在り方を再検討する必要がある。


 また、現行のコースや類型制の枠に加え、1年次からの重点的な学習内容の選択を弾力的に可能とする新たな履修形態の導入を図るなど、生徒の選択幅を確保し、教育課程上の特色化を図る必要がある。


 なお、普通教科で、重点化して集中的に学習することが学校の魅力づくりにつながる分野については、普通科系の専門学科としての展開を積極的に推進していくことが必要である。



 今後の社会情勢や生徒の進路希望等を踏まえて、以下の分野等において県立高校普通科全体の特色化を一層推進することが必要である。



ア  文科系

  文科系の教育は、事象を多面的かつ論理的に把握し表現する能力や豊かな国際感覚の育成、新しい文化を創造していくことができる人材の育成において重要な意義を有している。


 進路希望への対応として、普通科における類型での展開が広く定着している一方で、平成9年度から、総合文科、人間文科コースがそれぞれ1校に1学級ずつ設置されている。


 このような状況を踏まえ、普通科における類型としての展開を基本としながら、生徒の学習ニーズに応じて、演習や課題研究等の科目を取り入れる等、指導内容・方法の充実を行うとともに、必要に応じて学科・コースの配置を行うことが望ましい。


 イ  理科系

 科学技術立国を目指す我が国にとって、事象を科学的に探究し、処理するための基礎的な技術や態度を育成する理数教育の充実は重要な意義を有している。


 そのため、普通科においても、観察・実験等の探究活動や視聴覚教材等を活用した教育の充実を図る必要がある。


 理科系の教育については、類型での展開が広く定着している一方で、特色ある学科・コースについては、平成2年度に理数科が設置されて以来、理数系コースも含めると、これまで各地区に2~4学級、全県で12校13学級が設置されている。


 理数科等において、理科系の大学への進学を希望する生徒への対応に高い教育効果が現れているなど、これまでの教育の成果を勘案し、普通科での類型の充実を図るとともに、生徒の学習ニーズに応じて学科・コースでの展開を図ることが望ましい。


ウ  芸術系 

 芸術系の教育は、豊かな感性と情操を培うとともに、創造力にあふれた人間の育成を図る上で重要な意義を有している。


 現在、芸術は、必履修教科として広く定着している一方で、美術及び書道の類型を持つ芸術科については平成7年度に1学級、芸術系のコースについては平成10年度に1学級が設置されている。


 今後は、全県的なニーズや適正配置の観点を考慮しながら、美術の領域については専門学科やコースの拡充を図るとともに、声楽やピアノ等の分野に限定した音楽の領域及び書道については類型等での展開を図ることが望ましい。


 エ  体育系

 余暇時間の増大や生涯学習社会の到来などに伴う、体育・スポーツに対するニーズの多様化・高度化への対応とともに、近年の成育環境、生活行動様式等の変化に関わって深刻化している心の健康、生活習慣病、薬物乱用、性に関する問題等、健康に関わる様々な課題についての対応が求められている。


 このため、運動技能の向上だけではなく生涯スポーツや生涯の各段階における健康についての課題への対応等を目的とした教育の展開を幅広く図ることが必要である。


 体育系については、体育コースは昭和58年度に設置されて以来、全県で6校6学級が設置されている。 さらに特色化を図るため、既設のコースについては重点化を図るとともに、全県的なニーズや適正配置の観点を考慮しながら、教育環境を整備し、部活動と連動させるなど教育内容の充実を図る必要がある。


 また、体育・スポーツに関する高度で専門的な知識の習得を目指す生徒や生涯スポーツ分野での指導者を目指す生徒などの幅広い学習ニーズに応えるため、運動理論や生理学等を教育内容とする専門学科の設置を図ることが望ましい。


   オ 情報系

 インターネットや衛星通信等の高度情報通信網による、新しい情報手段が急速に発達・普及し、膨大な情報の流れの中で、情報及び情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な資質の育成を図ることが求められている。


 また、学習指導要領の改訂により、小学校・中学校・高校の各段階でのコンピュータ等を手段として活用した幅広い学習の展開が進み、普通教育に関する教科「情報」が必履修として新設される . 。


 このような状況を考慮し、普通科における特色ある情報教育については、他の教科と関連させた複合的な教育内容を中心として、専門学科、コース、類型、選択科目の設置など幅広い履修形態での展開を図ることが望ましい。


 カ  国際系(外国語教育及び国際理解教育)

 コミュニケーション能力としての外国語能力の育成や国際理解教育の推進など国際化の進展に対応した教育の充実を図るため、英語科については平成6年度に設置して以来、全県で4校4学級(各地区に1学級)が、英語コース等の国際系コースは、11校12学級が設置されている。


 英語コースについては、普通科でも、類型を問わず外国語の履修単位数が多く、コースとしての教育の特色化が図り難いため、今後更に、その在り方について研究を進める必要がある。


 また、英語科については、既設置学科の教育上の成果を慎重に見極めつつ、当面は現状を維持することが望ましい。


 なお、英会話能力の育成など特定分野に重点を置いた教育内容に関しては、コース等での展開を考慮するとともに、英語以外の中国語やハングル等多様な外国語教育については、生徒の興味・関心に応える観点から選択科目としての設置を行うことが望ましい。


 さらに、普通科においても各学校で幅広く国際理解教育を実施するとともに、国際系において、より専門的な学習ニーズに対応することが可能な新たな教育内容については、専門学科での展開を基本とすることが望ましい。


 キ  環境系

 地球規模での環境に関する問題が顕在化してきており、環境保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動できる人間を育成することが求められている。


 環境教育については、普通教育に関する教科・科目の中で、幅広く環境に関する内容が取り扱われるとともに、平成9年度に環境科学コース1学級が設置されている。


 環境系については、他の教科と関連させた複合的かつ柔軟な教育の展開が可能であるという特性を考慮し、農業や工業等の専門教育に関わる領域については専門学科としての展開を行うとともに、普通科系においては、環境を教材としたコースの展開を行うことが望ましい。


ク  ビジネス系  

 生徒の多様な進路希望に適切に対応するため、ビジネスの諸活動や経済社会の一員として必要な基礎的な知識・技術、望ましい心構え、コミュニケーション能力などを育む教育内容の選択を可能とすることが求められている。


 普通科においては、平成8年度にビジネス教養コースと情報経理コースが設置されて以来、全県で3校3学級のコースが設置されている。


 ビジネス系については、高校段階でのビジネス教育の役割を踏まえ、総合学科や普通科の枠組みの中でのコースや類型としての充実を図ることが望ましい。


  ケ 福祉系

  急速に高齢化が進行する中、高齢者介護をはじめとする福祉の充実が求められている。このため、介護・福祉など高齢社会の課題に対する理解を深めるとともに、ボランティア活動を行うなど、主体的に行動し、社会に貢献できる人間の育成が必要となっている。  普通科においては、平成6年度に福祉教養コースが設置されて以来、全県で2校2学級のコースが設置されている。  福祉系については、高校段階での福祉教育の役割を踏まえ、福祉の理念と意義を理解し、福祉活動を推進することができる資質・能力の育成を目指し、総合学科や普通科の枠組みの中でのコースや類型としての充実を図ることが望ましい。

 コ  その他

 今後、社会のニーズの変化等により、新たな教育内容の展開が必要と考えられる場合には、専門学科、コース、類型等様々な履修形態を複合的に活用して積極的に対応していくことが必要である。

(2)職業に関する専門学科の改善

 産業社会では、産業構造の変化等に伴い、特定の分野だけではなく、複数の分野にも精通し、変化により柔軟に対応できる知識・技術が必要とされてきている。さらに、技術革新が進み、先端技術の高度化が進む中、職業系専門学科での教育内容と実際の産業社会の中で求められる知識・技術との隔たりが指摘されている。


  各企業にとって真に必要とされる知識・技術に関する教育は、より実践的な内容で企業内教育として実施されており、特定の知識・技術を備えた人材の育成を中心としたこれまでの職業教育の取組だけでは、産業社会のニーズに対応していくことが困難な状況になってきている。


  一方で、職業学科に学ぶ生徒の実態が多様であることを踏まえ、将来の進路目標が明確な生徒に対しては、教育内容の見直しを図り、進路希望の実現に必要な知識・技術を獲得できる教育の展開を図る必要がある。


  また、志望動機や進路目標が明確でない生徒に対しては、将来の進路を主体的に選択し決定できる能力の育成や、産業を支える知識・技術の重要性を学習させる教育を充実させる必要がある。


  このような観点から、これまでも幅広い職業領域を学ぶことができる産業技術科を設置してきたが、更に、その趣旨を発展させるため、複合的な教育内容を有する学科・コースの設置、あるいは所属する学科・コース以外の教科・科目も選択できる総合選択制の拡充を図ることが必要である。


  併せて、技術革新に対応した教育内容の充実と多様化を図るため、産業界の協力を得て、生徒の在学中における就業体験(インターンシップ)や社会人講師の活用を推進することが必要である。


  特に、職業に関する専門学科については、今後、産業界との連携協力が重要であり、地域の様々な期待や産業社会のニーズに応えるためにも、学校外の意見を積極的に受け入れながら、教育内容について随時検証していくことが必要である。


  なお、産業社会で求められる知識・技術の高度化や社会の高学歴志向により、今後とも大学や専修学校等の高等教育機関での学習を希望する生徒の割合が増加することが見込まれることから、そのような学習ニーズへの対応も図る必要がある。


  また、継続して学ぶ機会を確保するという観点から、職業系専門高校の一部に設置されている専攻科については、これまでの教育の成果にも十分配慮しながら、今後、教育内容の充実を図ることが望まれる。

(ア) 農業教育の現状

 平成11年度の農業に関する学科は、10校29学級(募集定員1,160人)に設置されている。

 その内訳は以下のとおりである。

a 生物生産系(農業技術科、園芸科、農業経営科、生物工学科)9校10学級(募集定員400人)

b 関連産業系(農業科学科、環境緑地科、農林土木科、食品科学科、農業経済科、生産流通科、食品流通科)10校15学級(募集定員600人)

c 生活系(生活科学科)4校4学級(募集定員160人)

※ その他の学科として、農業を主体とし、産業全般を広く学ぶ産業技術科Iが、5校6学級(募集定員240人)に設置されている。

 平成11年度、全日制課程の総募集定員中に占める農業に関する学科の割合は、3.6%であり、継続的に定員を充足している高校がある一方で、志願割れを起こしている高校もある。

 平成10年度における生徒の卒業後の進路状況については、50.9%の者が就職、32.3%の者が進学となっている。そのうち、卒業後直ちに農業後継者として就農する者は、卒業者数の1.4%となっており、農業関連企業へ就職する者は就職者全体の25.8%、農業関係の大学や短大、専修学校等へ進学する者は進学者全体の21.1%となっている。

(イ) 改善の基本的な方向性
 本県では、農業生産を維持・発展させ、生産規模の拡大等によるコストの低減を図ることが主要課題となっており、今後、農用地の利用集積が推進され、農業経営の規模拡大が進むとともに、収益性の高い企業的経営など多様な農業経営が展開されていくものと考えられている。

 本県における農業就業人口や耕地面積は減少を続けており、関連産業の動向や生徒の農家率、卒業後の進路状況等を見ても、今後、大きな変化は期待できにくい状況にあるが、その一方で、これからの農業については、環境保全や潤いのある生活環境の創造に向けた余暇空間の提供など多面的かつ公益的な機能を果たすことが期待され、求められる役割も多様化してきている状況にある。


 このような状況等を踏まえ、農業政策上重要な課題である農業の担い手の育成に対応した生物生産系等については、生徒の進路や地域の農業、営農形態等の現状を踏まえつつ、統合・集約化により重点化を図ることが望ましい。


さらに、食品産業の多様化、バイオテクノロジーの進展、環境問題に関わる国土保全等に対応した教育内容の改善を図ることが必要である。


 関連産業系については、生徒の多様な学習ニーズや社会の変化等に柔軟かつ的確に対応できるよう、類型やコースの設置や選択履修の幅の拡大などにより、幅広い学習ができる方向で教育内容の見直しを行うことが必要である。


 学科としての特色が明確でなくなってきている生活系については、生徒や地域社会のニーズ等を踏まえつつ、教育内容について見直していくことが必要である。


 また、その一方で、生徒の実態に応じ、自然とのふれあいや農作業などの体験活動による豊かな人間性や勤労観の育成など、農業教育が持つ教育的効果を生かす観点から、専門性を深める学科だけではなく総合学科や地域の特色を踏まえた複合的な学科の中での展開も推進し、生徒の学習ニーズや進路希望に対応できるものへと改善を行うことが必要である。

(ア) 工業教育の現状

 平成11年度の工業に関する学科は、13校78学級(募集定員3,120人)に設置されている。

 その内訳は以下のとおりである。

a 機械系(機械科、電子機械科、材料技術科、設備工業科、自動車科)13校28学級(募集定員1,120 人)

b 電気系(電気科、電子科、情報技術科、情報電子科)12校24学級(募集定員960人)

c 建設系(建築科、土木科、インテリア科、環境デザイン科)10校18学級(募集定員720人)

d 化学系(工業化学科、繊維システム科)5校7学級(募集定員280人)

e 工業進学コース1校1学級(募集定員40人)

  

※ その他の学科として、工業を主体とし、産業全般を広く学ぶ産業技術科IIが、1校1学級(募集定員40人)に設置されている。

 

 平成11年度、全日制課程の総募集定員に占める工業に関する学科の割合は、9.6%であり、一部の高校に志願割れの傾向が見受けられる。

 平成10年度における生徒の卒業後の進路状況については、69.4%が就職、24.8%が進学となっている。

 就職については、第2次産業に就職する者が多く、全般的には工業に関する専門学科で学んだ知識・技術が生かされる分野の職業に就いているといえる。また、経済のサービス化・ソフト化、情報化の進展などに伴って、サービス産業をはじめとした第3次産業への就職者が増える傾向も見受けられ、生徒の卒業後の進路は更に多様なものとなることが予測される。さらに、最近の技術革新の急速な進展に伴い、企業等ではより幅広い知識や高度な技術が求められ、高校における工業教育の指導内容と実際に産業界で扱われている知識・技術の間に隔たりが見られるようになっているとの指摘がある。

(イ) 改善の基本的な方向性
 本県の産業構造を見ると、サービス業をはじめとする第3次産業の割合が増加する一方で、製造業をはじめとする第2次産業の割合は、第1次産業とともに低下傾向にある。

 他方、製造業に関しては、鉄鋼や化学などの基礎素材型産業に加え、自動車産業等の加工組立産業の集積が進むなど、多様な産業集積が形成されつつある。


 このような中、専門的な知識・技術に関しては、より高いレベルの教育が求められ、工業高等専門学校等の高等教育機関が大きな役割を担ってきている。


 工業で学ぶ生徒の実態や学習ニーズを踏まえ、今後の高校における工業教育では、作品制作を実践的に学ぶ領域から、創造的な技術革新の期待に応える実践的技術者の養成を目指す領域まで、生徒の多様な進路希望に対応した教育を行うことが必要である。


 このため、近年の科学技術の発達に対応した教育を推進する観点から、特定の分野での実践的技術者養成に対応した学科については、地域の中心的な役割を果たす学校に集約化・重点化を図ることが必要である。


 また、一方で、産業界や地域の幅広いニーズに応える観点から、工業の各分野の基礎的な内容について「ものづくり」をとおした柔軟な教育を行うなど、多様な教育の展開を図ることが必要である。


 さらに、工業の各分野における新たな課題に対応するため、マルチメディアを応用した情報通信技術や環境保全などの環境問題に対応した関連技術等に関する教育内容の導入を図ることが必要である。


 情報技術科、情報電子科については、専門学科「情報」の新たな設置等を勘案しながら、教育内容の見直しを図る必要がある。


 化学系については、今後の社会的なニーズを踏まえつつ、その在り方について見直しを図っていく必要がある。


 以上のような観点から、各学校の実態を踏まえながら、工業の基本的な分野として、機械系、電気系、建設系、化学系の区分を中心に小学科を統合するとともに類型の充実や学科の区分を越えた選択科目の設置を図る必要がある。

(ア) 商業教育の現状
 平成11年度現在、商業に関する学科は、15校70学級(募集定員2,800人)に設置されている。

 その内訳は、以下のとおりである。



a 商業(商業科)13校37学級(募集定員1,480人)


b 国際経済(国際経済科)4校4学級(募集定員160人)


c 情報処理(情報処理科、情報管理科)9校18学級(募集定員720人)


d 簿記会計(会計科、情報会計科)5校8学級(募集定員320人)


e 専門進学コース3校3学級(募集定員120人)



※ その他の学科として、商業を主体とし、産業全般を広く学ぶ産業技術科IIIが、1校1学級(募集定員40人)に設置されている。


 平成11年度、全日制課程の総募集定員に占める商業に関する学科の割合は、8.7%であり、高校によって状況は異なるが、一部の高校では志願割れの傾向が見受けられる。


 平成10年度における卒業後の進路については、43.3%が就職、38.2%が進学となっている。就職については、事務従事者、販売従事者、サービス職業従事者など高校で学んだ知識・技術を生かした職業に就く者が多い。


 また、近年、他の学科と比しても特に進学者の割合が増加する傾向にある。

(イ) 改善の基本的な方向性
 商業の分野においては、新しいビジネスの創造やビジネスの国際化に対応するため、ビジネスに対する望ましい心構えや理念を身に付けさせるなど、総合的なビジネス教育が求められている。

 また、情報化の進展等によって企業ではOA化による事務部門の合理化・効率化が進み、基本的なパソコンの操作等については、必須の資質・能力となっている。


 今後、経済のサービス化や国際化、情報化が更に進展することが予測されることから、ビジネスマナーや外国語を含む実践的なコミュニケーション能力、情報活用能力、会計に関する知識・技術などの社会人・職業人として要求される能力の育成や経営活動に関わる情報の分析と活用に関する教育内容の導入・改善を行うことが必要である。


 また、情報処理科や情報会計科などの各学科における教育内容について重複した領域が多く、生徒の選択履修の幅の拡大を図る観点からも、特に学科の統合により多様な選択科目や類型、コースの設置を積極的に行うことが必要である。


 こうした点を踏まえ、今後の学科の基本的な方向としては、実務に即した教育を重視するとともに、コミュニケーション能力等、社会人としての幅広い素養を求める産業社会の要望に応える観点から、総合学科や普通科を含めた全体的な教育の枠組みの中で弾力的に商業教育の改善充実を行うことが望ましい。


 また、従来の商業に関する学科が担ってきた商業・会計等については、上記の観点から教育内容の改善・充実を図りつつ、各地域の実態に即して、集約化・重点化を図るとともに、情報処理、情報管理、情報会計については、学習指導要領の改訂に伴い、小学校段階からの系統的な情報教育が実施されていくことや、専門学科「情報」の新たな設置等を勘案しながら、教育内容の見直しを図る必要がある。

(ア) 水産教育の現状
 平成11年度現在、本県には水産高校が1校4学級(募集定員160人)設置されており、その学科別内訳は、以下のとおりである。

a 海洋科(航海コース、マリン技術コース、機関コース)2学級(募集定員80人)


b 食品流通科(食品開発コース、流通科学コース)1学級(募集定員40人)


c アクアライフ科(バイオ技術コース、漁業経営コース)1学級(募集定員40人)



 平成11年度、全日制課程の総募集定員に占める水産に関する学科の割合は、0.5%である。平成5年度に、マリンスポーツ関連科目を導入するなど学科の再編成を行い、多様な教育活動によって活性化が図られた結果、志願割れは解消され、入学志願倍率は1.33となっている。


 平成10年度における卒業後の進路状況については、68.3%が就職、22.1%が進学となっている。就職については、漁業及び関連企業への就職以外に卸売・小売業,飲食店、製造業、サービス業等への就職が多くなっている。

(イ) 改善の基本的な方向性
 漁業関係への就業者の減少傾向が続く中で、本県では、栽培漁業や資源管理型漁業への取組、漁場・増殖場造成事業の実施など、水産資源を守り、育てるための取組が実施されている。

 このような本県における水産業と生徒の実態や進路状況を考慮し、これまでの水産の領域に加えて海洋スポーツや海洋環境など海を教育資源として幅広く活用する教育へと改善を行うことが望ましい。


 このため、これまでの学科再編の成果や生徒の卒業後の進路状況等を見極めるとともに、今後、栽培技術や水産物の管理など水産技術の進展、海洋性レクリエーションなど海を取り巻く産業の変化に対応した教育内容の導入・改善を行う必要がある。


 さらに、環境問題等に対応した海洋環境の保全や管理に関する教育内容や情報通信ネットワーク等を活用した水産に関する情報技術等の教育内容を導入することが必要である。


 これらの観点から、海洋科及びアクアライフ科については、教育分野の拡充を図るとともに、食品流通科については、教育内容について見直しを図る必要がある。


 また、栽培漁業センターなど関係機関・団体等との連携を図りながら、優れた知識や技能を有する社会人を積極的に活用するなど教育内容・方法の一層の工夫・改善を図ることが望ましい。

(ア) 家庭科教育の現状
 平成11年度現在、家庭に関する学科は、12校18学級(募集定員720人)に設置されている。

 その内訳は以下のとおりである。


a 家政(家政科、生活文化科、生活情報科、総合生活科)10校16学級(募集定員640人)


b 被服(服飾デザイン科)1校1学級(募集定員40人)


c 食物(食物調理科)1校1学級(募集定員40人)



 平成11年度、全日制課程の総募集定員に占める家庭に関する学科の割合は、2.2%である。


 平成10年度における生徒の卒業後の進路状況については、41.4%が就職、41.1%が進学となっており、他の職業に関する専門学科に比べると進学する者の割合が特に高くなっている。就職に関しては、調理師、看護補助者、製造業、販売業などその職種は広範囲にわたっている。

(イ) 改善の基本的な方向性
 技術革新や情報化、経済のサービス化等の社会経済の変化やそれに伴う生活様式や価値観の多様化、あるいは少子・高齢化の進展などにより、家事労働の社会化が進んでいる。特に近年、生活関連では、服飾や食物調理、高齢者介護、保育・育児関連など多種多様な分野でのサービス産業の発達が著しい。

 家庭科教育においては、生活関連産業に結びつく専門的な領域と家庭生活に資するという教養教育的側面の二面性がある。このようなことから、家庭に関する学科の生徒の進路についても、進学から就職まで、今後も多様化が進むと考えられる。


 このため、衣食住等の生活関連産業の高度化・サービス化、消費者ニーズの多様化、少子・高齢化の進展に対応した教育内容の導入・改善を図り、職業と密接に結びついた学科と幅広い教育内容を展開する学科とに区別を図るとともに、総合選択制の積極的な活用や総合学科等でのより弾力的な展開を図ることが望ましい。


 現在、被服、食物など、特定の分野の学習だけでは、生徒の進路希望や産業界のニーズ等に適切に対応することが困難な課題も生じてきており、多くの分野を取り込んだ複合的な教育内容の導入や枠組みの変更などを図ることが必要である。

(ア) 福祉教育の現状
 平成11年度現在、福祉に関する学科は、社会福祉科が1校1学級に設置されており、平成10年度における生徒の卒業後の進路状況については、22.5%が就職、72.5%が進学となっている。

 介護福祉士 ※17 等の資格取得を念頭においた専門的な人材の養成を目指す観点から、福祉教育の分野については、近年、私立の高校や専修学校を中心に、急速にその充実が図られているという実態がある。

(イ) 改善の基本的な方向性
 本県においては、今後、更に高齢化が進むことが予測されており、高齢者介護など福祉の充実が大きな課題となっている。

 このような高齢社会の課題に対応するため、高校段階での福祉教育の役割を踏まえ、福祉の理念や意義を理解するとともに、福祉に関する専門的な資質・能力の育成を目指した教育内容の展開を図ることが必要である。


 このため、卒業後の進路等の状況と、福祉に携わる人材の養成についての長期的な視点に基づくニーズを踏まえた適正配置の観点から、介護福祉士等の養成を目指す分野については、現在設置されている専門学科の充実を中心に取組を進めることが望ましい。


 なお、看護教育については、看護に関する職業に就く要件として高等教育機関での学習が必要なこと、また、教育内容が福祉教育の領域と密接に関連する部分が多いことから、専門学科やコースでの展開よりもむしろ、進学を視野に入れ、理科教育等に重点を置いた類型等での展開を基本にすることが望ましい。

(ア) 情報教育の現状
 平成11年度現在、情報に関する学科は、単位制高校1校に設置されている。

 情報に関連した専門教育は、工業・商業に関する学科を中心として実施されており、情報処理を中心とした教育内容となっている。


 また、情報分野については、今回の学習指導要領の改訂に伴って、高校では、普通教科、専門教科ともに「情報」が新設され、教育内容の充実が図られることとなっている。

(イ) 改善の基本的な方向性
 新設の専門教科「情報」においては、高度情報化の進展に対応した教育を本格的に展開し、情報や情報手段を主体的に選択・活用していくための基礎的な資質や能力の育成に加え、人間の精神的、文化的発展に貢献する方向に情報化社会をリードし構築していく人材の育成を図ることが求められている。

 このような新しい動向も見据え、情報関連の人材養成に対応した専門教育としての「情報」の分野については、現在の商業に関する学科における情報処理科や情報管理科、あるいは工業に関する情報技術科のような特定の学科の枠組みの中での展開ではなく、新たな枠組みの中で考えることが必要である。


 このため、工業、商業に関する学科等の枠組みから独立した専門学科を設置し、他の学科との連携を図りながら、マルチメディアを活用した表現、情報システムの開発、情報通信ネットワーク等に対応した、多分野にわたる複合的な教育内容の展開を図ることが望ましい。


 なお、現在までの工業、商業に関する学科等で行われている情報に関連した教育内容については、専門学科「情報」の新たな設置等を勘案しながら、見直しを行い、統合・再編する必要がある。

 生徒の興味・関心、能力・適性、進路希望等の多様化が進む中で、高校教育に対する期待や要望に、より適切に対処していくためには、既存の学校・学科等の枠組みのみでは難しくなってきている。


 現在、新しいタイプの学校として、「単位制」高校、「総合学科」高校、「中高一貫教育」校があり、県立高校においては、中高一貫教育校を除けば、それぞれ1校ずつ設置されている。また、生徒の教科・科目の選択方法に着目すれば、「総合選択制」が挙げられる。


 これら新しいタイプの学校については、全国的にも大きな期待を集め、設置の取組が進められている。また、本県においても県民の期待は大きく、このことは、平成9年の「福岡県民意識調査」 ※18 や本県の「中学校・高等学校の教育に関する意識調査」 ※19 において、一般県民、児童生徒・保護者・教職員等から必要性を指摘されていることからもうかがえる。


 このようなことから、より一層柔軟で弾力的な教育システムを整備するためには、総合学科や単位制高校、中高一貫教育校等の新しいタイプの学校の設置を県立高校の再編整備の中で積極的に推進することが必要である。


 なお、いずれのタイプの学校も、生徒の個性を生かした主体的な学習を促進するためには意義あるものであり、設置に当たっては、教育の機会均等の観点に立ち、県下各地域の生徒が選択可能となるよう、配慮する必要がある。

 総合学科は、普通科目から職業系の専門科目にわたる多様な開設科目の中から、学校でのガイダンスに基づき、生徒が主体的に選択し幅広い学習活動を行い、自らの進路目的を見いだしていくことに特色を有している。

 これまでの高校教育においては、生徒の興味・関心、進路希望等の多様化に応じるため、普通科と職業系専門学科とで役割分担を果たしながら、選択幅の拡大等に取り組んできた。


 しかしながら、普通科と職業系専門学科とに大きく区分された現行の学科制度では、普通科は進学、職業系専門学科は就職という固定的な考え方に結びつきやすく、生徒一人一人の興味・関心等に沿った柔軟な対応が困難な状況がある。


 総合学科は、このような普通科と職業系専門学科という分化した制度の限界を克服し、普通科目と専門科目の双方にわたって一定の系統性を持ちながら多様な教科・科目を開設するとともに、科目選択や進路指導などのガイダンス機能の充実を図り、生徒が自己の興味・関心、能力・適性、進路希望等に基づき履修科目を選択することを可能とすることに特色がある。


 本県で平成9年度に設置した稲築志耕館高校では、ガイダンス科目である「産業社会と人間」等の学習をとおして、主体的に考え行動し、調べる力、聞く力、まとめる力、発表する力などを身に付けた生徒の育成が期待されており、このような総合学科の意義は大きい。

 総合学科については、生徒一人一人が自らの個性を一層伸長させるとともに、物事や課題に対し、主体的に取り組む意欲と能力を身に付け、自らの進路目的を見いだしていくという教育上の効果が期待できるものであり、教育の機会均等などの観点に立ち、既設の学校の改編などを含めて少なくとも各地区単位に拡充を図ることが望ましい。 


 なお、設置に際しては、総合学科に対する期待に応えるため、地域の特色や産業、生徒の学習ニーズ等を踏まえた特色ある系列 ※20 を可能な限り幅広い分野にわたって設定することが望ましい。


(例)


  • 情報に関する系列
  • 国際理解に関する系列
  • 環境に関する系列
  • 福祉に関する系列
  • 体育に関する系列
  • 芸術に関する系列
  • 家庭に関する系列
  • ビジネスに関する系列

 

 

 「単位制」高校とは、学年の区分がなく、一定の在学期間において、自分の将来への見通しに基づいて、卒業に必要な単位数を自分で決めた時間割に従って修得するシステムの高校である。

 現在、ほとんどの高校では、学年ごとに区分した教育課程が編成され、年間をとおして、体系的な指導が行われている。このため、学年を越えて履修できる科目が極めて少なく、生徒の主体的な選択の余地は狭いものとなっている。


 単位制のシステムは、開設科目の種類を増やすことができるなど、生徒の幅広いニーズに応える多様な履修形態が可能となること、学期ごとの入学・卒業、転・編入学の円滑な受入れが可能となること等の点で意義がある。


 また、生徒が自ら学習計画を立て自分の時間割を作ることが可能となることや、異なった年齢の生徒との活発な交流により、人間形成上、有意義な体験をすることができるなどの特色がある。


 一方で、単位制のメリットを生かすためには、生徒の自己管理能力や自律性が不可欠である。

 単位制は、生徒の興味・関心等に基づく学習を促し、より高度な学習目標を達成することができるとともに、各学校の創意工夫ある取組によって様々な特色を持たせることが可能であり、多様化、特色化方策として極めて大きな役割を果たすことが期待できる。

 今後、生徒が学ぶ内容を主体的に選択できる幅を更に広げるために、普通科の多様化、特色化方策の一環として、各地区における生徒や学校の実情等を踏まえながら全日制課程の高校において、その導入を図ることが望ましい。

 学校教育法等の改正により、平成11年度から公立学校においても中高一貫教育の選択的導入が可能となった。


 中高一貫教育校は、中学校と高校を、高校入学段階での選抜を行うことなく接続して、6年間にわたる計画的・継続的な教育・指導により、一貫した教育を効果的に行うことを目的としており、落ち着いた、安定した学校生活を可能にすることで、生徒の個性のより一層の伸長を図ろうとするものである。

 本県での中高一貫教育の導入に当たっては、中高一貫教育制度の趣旨を踏まえるとともに、本県の児童・生徒や保護者のニーズ、地域の実情等に十分に配慮することが必要である。また、中高一貫教育校がいわゆる「受験エリート校」化しないことや、受験競争の低年齢化を招くことのないよう、教育内容の特色化や学力検査を実施しない入学者の決定の在り方等について十分に配慮する必要がある。


 本県における中高一貫教育の導入の在り方については、平成10年度、国から「中高一貫教育実践研究事業」 ※21 の委嘱を受け、調査研究が行われている。


 その中で実施された、本県の「中学校・高等学校の教育に関する意識調査」では、中高一貫教育によって生まれる「ゆとり」をどのように活用するかという質問項目において「進みたい進路をじっくり考える」「よさを伸ばせる学習」に対する回答が児童・生徒、保護者ともに高い割合を示している。


 これらのことから、県立の中高一貫教育校の導入に当たっては、中学校と高校を一貫することによってできる様々な「ゆとり」を活用して、じっくりと学ぶことができるようにすることにより、生徒の課題解決能力を育成するとともに、個性や創造性を伸長し、豊かな人間性を育成することを特色とすることが望ましい。


 そのため、大学受験準備一辺倒の学習に偏ることなく、自ら学び、自ら考える力を育む観点から、試行錯誤をしたり、様々な体験を積み重ねたりするなどの活動を重視した多様で柔軟な教育を展開する必要がある。


 また、同時に、6年間にわたり計画的・継続的な教育ができるという利点を生かし、一人一人の生徒が、自分自身をじっくりと見つめ、自分の持つ様々な能力や適性を理解し、よさを伸ばし、自分の夢を持ち、自己実現に向けて努力することができる教育の実現を目指す必要がある。

 県が中高一貫教育を導入する場合は、6年制の中等教育学校 ※22 のほかに、新しく県立の中学校を設置し県立高校に併設させた形態や既設の市町村立中学校と県立高校を連携させた形態が考えられる。


 この中で、県としては、ゆとりの中で計画的・継続的な教育を行うという制度の趣旨を最大限に生かすため、一つの学校として体系的な教育が最も効果的に行える、6年制の中等教育学校を軸としながら、設置を図ることが望ましい。


 また、既設の市町村立中学校と県立高校が連携を図る形態の中高一貫教育校については、学校の主体的な取組を基本としつつ、全県的な適正配置の観点、生徒や保護者のニーズや地域の実情等を踏まえながら、設置を図ることが望ましい。

 中高一貫教育の理念を生かした教育を実現するためには、中学校・高校を一貫した教育課程を編成することにより、6年間の計画的・継続的教育を実施し、ゆとりある教育を行うこと、併せて、地域の教育資源や時間的なゆとりを活用して、特色ある教育を工夫することが基本となる。


 本県における中高一貫教育校の展開に当たっては、まず、自然環境に恵まれた地域等において、環境教育等での森林や河川などの教材化や自然活用型地域産業の教材化、或いは地域文化伝承者の指導者としての活用等をとおして、豊かな人間性の育成を特色とする教育が考えられる。


 また、都市部において、美術館や博物館・各種情報センター等の豊富な情報の活用や大学や研究機関の人材の活用等をとおして、知的探究力の育成を特色とする教育が考えられる。


 その他にも、勤労体験や地域の人々との交流、寮生活での生活体験等をとおして、社会性や豊かな人間性、協調性、自己管理能力等の育成を特色とする教育等が考えられる。


 さらに、連携型の中高一貫教育校についても、ゆとりある教育を重視し、地域の中学校と高校が連携を密にし、継続的な教育活動を行うことにより、求められる地域の人材の育成などを特色とする教育等が考えられる。


 このように、それぞれの中高一貫教育校において特色ある教育を実現するためには、設置される地域のニーズに応えるとともに、自然環境や文化資源等、設置する地域における教育資源を最大限に生かすことにより、特色ある教育課程の編成やゆとりを生かした教育方法の工夫を図ることが必要である。


 以上のような観点を踏まえつつ、学校・学科の適正規模・適正配置や教育の機会均等などの点にも配慮して、既設の学校の改編を含めて、中高一貫教育の理念に基づいて学校教育の特色化を図ることが可能な地域からの設置を段階的に進めることが望ましい。

 総合選択制は、総合学科や単位制とは異なり、普通科及び専門学科において、学年制を基盤としながら、所属する学科やコースの枠を越えて、生徒が主体的に希望する教科・科目を選択履修することができるシステムである。

5 定時制・通信制教育の改革

 定時制・通信制教育は、これまで、勤労青少年等に幅広く高校教育の機会を提供する上で重要な役割を果たしてきた。


   平成11年度、定時制課程を置く高校は、27校であり、通信制課程を置く高校は、1校である。


   本県では、平成4年3月の定時制・通信制教育の改善充実についての本審議会の答申を受けて、定時制教育では、これまでにも単位認定及び進級・卒業認定の弾力化や入学者選抜における成人の特例措置等について取組が進められてきた。


   しかしながら、単位制を除く定時制課程では、平成10年度の募集定員1,240人に対し、入学者は、585人であり、募集定員と入学者との間に依然として著しい隔たりが生じている。


   その中で、小規模な定時制課程においては、教育活動全体が停滞するなどの支障が生じている。


   また、その一方で、本県では平成9年度に定時制単位制高校が設置され、従来の学年制の高校に比して、より多様かつ弾力的な教育内容・方法を備え、様々な学習ニーズに十分応えることのできる学校として期待されている。


   なお、通信制教育については、多様なニーズに対応した教育課程の改善や修業年限の弾力化、定時制との併修等の改善を図ってきた。


   近年、より自由な学習形態を求める傾向が強まるとともに、通信制を希望する生徒は増加する傾向にあり、平成11年度当初の通信制在籍者数は、2,581人に及んでいる。


   このような現状を踏まえ、定時制・通信制教育については、学校・学科の在り方や教育内容・方法等について総合的な振興方策を講じ、魅力ある高校教育の場として整備を図ることによって、社会の期待に応えていくことが必要である。

(1)定時制単位制高校の設置

 平成9年度に設置された定時制単位制の博多青松高校は、午前部、午後部、夜間部の三部制をとっており、勤労青少年はもとより多様な学習歴や学習希望を有する生徒が入学している。それらの生徒の多くは、学年の枠にとらわれず、自主性・主体性を持って自らの学習計画に基づき学習できる単位制の特色に魅力を感じて入学しており、充実感を持って日々の授業に取り組んでいる。


 

 こうした取組の成果と県下の定時制単位制高校に対する要望を考慮し、既設校の再編等により、単位制による定時制教育の拡充を図ることが望ましい。

(2)定時制課程の配置

 定時制課程における入学者が減少し、学校・学科が小規模化する中で、教育内容・方法の改善・充実方策の具体化を図る場合においても、十分な効果が期待できなかったり実現が困難なものが多い。


 こうしたことから、生徒の減少に伴う諸課題の改善を図るとともに、生徒の多様化に対応した種々の改善・充実方策を適切に推進するため、勤労青少年の学習機会の確保に十分留意しながら、今後の単位制高校の設置計画や充実した集団教育の在り方などを総合的に勘案し、定時制高校の規模・配置の見直しを図り教育環境の改善に取り組むことが必要である。

(3)通信制課程の改善・充実

 通信制課程は、勤労青少年のための多様な履修形態を提供する教育機関としてだけではなく、生涯学習の観点も含めて様々な学習ニーズに幅広く対応できる教育の場として、大きな意義が認められる。


 したがって、今後は、通信制に対する期待や入学者や在籍者の状況を踏まえ、交通の状況等も勘案しながら、各地域でスクーリングを実施するための体制の整備等を進めることが望ましい。

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