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福岡県情報公開審査会答申第121号

更新日:2015年4月14日更新 印刷

「特別弔慰金の請求を却下された者の戸籍謄本等の非開示決定処分に対する異議申立て」の答申内容を公表します。

答申

1 審査会の結論

 福岡県知事(以下「実施機関」という。)が、平成18年8月9日17国援302号4において、第六回特別弔慰金について事実婚を理由に請求を却下された者の戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿(以下「本件公文書」という。)を非開示とした決定(以下「本件決定」という。)は妥当であるが、「却下通知書の送付について」と題された文書及び「戦没者の遺族の現況等についての申立書」を対象公文書として、改めて開示又は非開示等の決定をすべきである。

2 異議申立てに係る対象公文書の開示決定状況

 異議申立てに係る対象公文書(以下「請求対象文書」という。)は、第六回特別弔慰金について事実婚が判明したため請求が却下となった5ケースについて、事実婚の判明のいきさつ等実態内容がわかる公文書である。

 実施機関は、請求対象文書を、当該5ケースの特別弔慰金請求者の戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿と特定し、福岡県情報公開条例(昭和61年福岡県条例第1号。平成9年福岡県条例第68号による改正前の条例を指すものとし、以下「旧条例」という。)第9条第1号に該当するとして本件決定を行った。

3 異議申立ての趣旨及び経過

(1)異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、実施機関が行った本件決定の取消しを求めるというものである。

(2)異議申立ての経過

ア 平成18年7月25日付けで、異議申立人は、実施機関に対し福岡県情報公開条例(平成13年福岡県情報公開条例第5号。以下「条例」という。)第6条の規定に基づき、本件開示請求を行った。

イ 平成18年8月9日付けで、実施機関は、本件公文書に記載されている情報が条例第7条第1項第1号に該当するとして非開示決定を行い、その旨を異議申立人に通知した。

ウ 平成18年8月25日付けで、異議申立人は、当該決定を不服として実施機関に異議申立てを行った。

エ 平成18年10月27日付けで、実施機関は非開示決定通知書理由欄の該当条例に記載誤りがあったとして、条例第7条第1項第1号を旧条例第9条第1号に訂正し、異議申立人にその旨を通知した。

4 異議申立人の説明要旨

 異議申立書、意見書における異議申立人の主張を要約すると、次のとおりである。

(1)文書の特定について

 実施機関は、請求対象文書を戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿であるとしたが、事実婚が判明する主たる原因は他者からの通報(投書)あるいは、行政庁自身による聞き込み等である。

 実施機関は他にも事実婚の調査を行った文書を所持しているのではないか。

(2)特定した公文書の開示について

 戸籍謄本及び住民票は、戸籍法及び住民基本台帳法で、何人でも正当な理由がある場合請求できると定められているのだから、原則公開制である。

 戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿を開示することによって、異議申立人の財産を保護することができるのだから、開示すべきである。

 実施機関が別の開示請求で特別弔慰金の裁定通知書や同意書等を個人情報に該当するということで部分開示決定しているのだから、戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿についても、個人情報に該当する箇所を除いて部分開示すべきである。

(3)その他の主張

ア 戦没者の事実婚妻が、遺族年金等の不正受給を続けていたため、異議申立人の特別弔慰金受給権は数十年に渡り侵害されてきた。

イ 戦没者と事実婚妻の子である異議申立人の妹は、事実婚妻の死亡事実を請求権同順位者である異議申立人に知らせ、同意書の作成を申し入れすべき立場にあったがこれを怠り、異議申立人の同意書を添付しないまま特別弔慰金の請求を行った。

ウ 実施機関は、請求同意書の有無を無視して異議申立人の請求を却下し、請求書の提出が早い異議申立人の妹に特別弔慰金を支給する裁定を行った。裁量権の乱用行為である。断じて容認できない。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関が本件決定を行った理由を要約すると、次のとおりである。

(1)文書の特定について

 事実婚に至る経緯は、戸籍謄本、住民票、公務扶助料簿の3つの公文書によって判明したのであり、他の文書をとる必要はなく、存在しない。

 異議申立人は、事実婚の判明には、請求者本人又はその家族(子や兄弟姉妹等)が自発的に申告することはなく、他者からの通報(投書)あるいは、行政庁自身による聞き込み等により判明するものであり、そのような文書を実施機関が所持していると主張するが、そういった状況で判明したわけではない。

(2)特定した公文書の開示について

 戸籍謄本、住民票、公務扶助料簿は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別できるものであるため、個人情報に該当し、非開示となる。

 公務扶助料簿は公務扶助料請求の受付簿で、戦没者等の氏名・本籍地、請求者の氏名・現住所、受付年月日、進達年月日及び番号、裁定年月日及び番号などの情報が記載されたものであり、個人に関する情報部分を除いて開示しても文字の羅列となり意味がないものとなるため、非開示とした。

6 審査会の判断

(1)本件公文書の内容及び性格について

ア 特別弔慰金について

 昭和40年に特別弔慰金支給法が制定され、戦後20年目の節目に当たり、改めて国として戦没者等に弔慰の意を表し、その遺族に対して特別弔慰金を支給することとされた。

イ 実施機関が特定した公文書について

 実施機関は、請求対象文書を、第六回特別弔慰金について請求却下した5ケースの戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿であると特定した。

(2)旧条例第9条第1号該当性について

 旧条例第9条第1号本文は、個人のプライバシーを最大限に保護するため、特定の個人を識別できる情報を非開示とすることができると定めている。

 しかし、同号ただし書は、個人情報に該当する場合であっても、公益的見地から開示することが必要なものと認められる情報は、例外的に開示することと定めている。

 ただし書イは、法令の規定により何人も閲覧することができる情報を、ただし書ロは、公表を目的として作成、又は取得した情報を、ただし書ハは、個人にかかる許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報であって、県民の生命、身体、財産等を保護する観点から公益上開示することが必要であると認められる情報を、それぞれ例外的に開示するとしたものである。

 以下旧条例第9条第1号該当性について検討する。

ア 旧条例第9条第1号本文該当性について

 本件公文書に記載されている情報は、住所、氏名といった特定の個人が識別できる情報が、性別、続柄などの情報と一体のものとして記載されているため、表題、項目名、枠などの様式部分を除いて、旧条例第9条第1号本文に該当する。

イ 旧条例第9条第1号ただし書イ該当性について

 異議申立人は、戸籍謄本及び住民票は、戸籍法及び住民基本台帳法で、何人でも正当な理由がある場合請求できると定められているのだから、原則公開制であると主張している。

 しかし、仮に戸籍謄本及び住民票が法令の規定により何人も閲覧可能だとしても、開示することにより、特定の個人が特別弔慰金を請求し、却下されたという旧条例第9条第1号に該当する個人情報が明らかになるため、ただし書イに該当すると認めることはできない。

 なお、公務扶助料簿は、実施機関内で公務扶助料の請求書の受付簿として作成されたものであり、ただし書イに該当しない。

ウ 旧条例第9条第1号ただし書ロ該当性について 戸籍謄本及び住民票は、特別弔慰金の審査のために取得したものであって、公表を目的として取得したものではなく、ただし書ロに該当しない。

 また、公務扶助料簿は実施機関内で使用するために作成された文書であり、公表を目的として作成したものではなく、ただし書ロに該当しない。

エ 旧条例第9条第1号ただし書ハ該当性について

 異議申立人は、戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿を開示することによって、異議申立人の財産を保護することができるのだから、開示すべきであると主張している。

 しかし、特別弔慰金の請求を却下された者の戸籍謄本、住民票及び公務扶助料簿を開示することが、県民の生命、身体、財産等を保護し、公益上必要であると認めることは困難であり、ただし書ハに該当すると認めることはできない。

(3)非開示決定の妥当性について

 旧条例第10条は、非開示情報を除くと客観的に有意とは認められない情報しか残らない場合は、部分開示はしないものと定めている。

 本件公文書から非開示情報に該当する部分を除くと、表題、項目名、枠などの様式部分しか残らず、これらの情報が、客観的に有意な情報であるとは認められない。

 以上のことから、実施機関が文書全体を非開示としたことは妥当である。

(4)実施機関が行った公文書の特定について

 当審査会が本件公文書以外の文書である「特別弔慰金の請求却下伺い」を併せて見分したところ、実施機関から市町村に「却下通知書の送付について」と題された文書が送付されており、当該文書にも却下の理由が記載されていることを確認した。

 また、5ケース中2ケースについては、請求者が提出した「戦没者の遺族の現況等についての申立書」にも、却下の理由が記載されていることを確認した。

 本件公文書以外のこれらの文書にも、事実婚の判明のいきさつ等が記載されているため、請求対象文書に含めるのが適当と判断する。

(5)異議申立人のその他の主張について

 異議申立人は、実施機関が特別弔慰金の請求を却下した行為等について詳細に主張している。

 しかしながら、当審査会は、実施機関が行った非開示決定等の妥当性を判断する機関であるため、当該主張は当審査会の判断を左右するものではない。

 以上の理由により「1 審査会の結論」のとおり判断する。

別表

    本件公文書に記載された情報
 1 戸籍謄本

記載されている情報

旧条例第9条第1号該当性

本籍地、氏名
父及び母の氏名
婚姻・離婚・出生等入籍・除籍に係る情報
続柄、生年月日
戸籍の作成年月日
戸籍抄本(謄本)の発行年月日
自治体首長による原本と相違ないとの記載
自治体首長名及び公印

旧条例第9条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。

  
 2 住民票

記載されている情報

旧条例第9条第1号該当性

氏名、世帯主名
住所、本籍、筆頭者、前住所
当該自治体に転居した日
住民票の届出をした日
性別、続柄、生年月日、住民となった年月日
住民票の記載内容を変更した日
住民票の発行年月日
自治体首長による原本と相違ないとの記載
自治体首長名及び公印

旧条例第9条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。


 3 公務扶助料簿  

記載されている情報

旧条例第9条第1号該当性

戦没者の氏名及び本籍
請求者の住所及び氏名
戦没者の官職及び生年月日
受付番号
受付年月日
進達年月日番号
裁定年月日番号
備考欄

旧条例第9条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。

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