本文
アレルギー疾患の概要
気管支ぜん息について
気管支ぜん息は、気道の慢性的な炎症、気道狭窄により、繰り返しの咳やぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、呼吸困難が生じる疾患です。ハウスダスト、イヌやネコなどの動物のフケや毛などアレルゲンとなるものは様々です。
気管支ぜん息の主な治療には、「ぜん息発作を治す治療(発作治療)」、「気道のアレルギー性の炎症をしずめる治療(抗炎症治療)」、ダニやホコリを減らす「環境整備」があります。
アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が、目や耳のまわり、首、肘や膝の関節の内側、裏側の皮膚に現れ、ひどくなると全身に広がる疾患です。皮膚の乾燥やバリア機能の低下により発症し、ダニやカビ等のアレルゲン、刺激物質が皮膚炎を悪化させる原因になります。
アトピー性皮膚炎の主な治療には、「薬物療法」、「皮膚の生物学的異常に対する外用療法やスキンケア」、「悪化因子の対策」があります。
アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎は、くしゃみと鼻水、鼻づまりが主な症状の疾患です。主なアレルゲンは、通年において症状を引き起こすダニやホコリ、季節性のスギやヒノキなどの花粉によるものがあります。
アレルギー性鼻炎の主な治療には、「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」があります。また、症状の原因となるダニやスギ花粉などのアレルゲンを回避する環境整備も重要です。
アレルギー性結膜炎について
アレルギー性結膜炎は、主な症状は目のかゆみで、充血、異物感、涙目なども伴う疾患です。ハウスダストやダニのほか、季節性では花粉が原因になります。
アレルギー性結膜炎の治療は、薬物療法が中心となっており、重症度に応じて薬剤が処方されます。
花粉症について
日本人の約4人に1人が花粉症といわれます。花粉症はスギやヒノキなどの花粉が原因で、主にくしゃみ・鼻水・鼻づまりが生じるアレルギーです。
花粉症の主な治療には、「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」があります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。
花粉飛散時期にはインターネットやTV・ラジオのニュースで花粉飛散予測が報じられています。花粉症の予防には、花粉になるべく接しないことが重要です。
福岡県医師会により、花粉飛散状況が提供されています。
食物アレルギーについて
食物アレルギーは、ある特定の食べ物を摂ったあとにアレルギー反応があらわれる疾患です。乳幼児の5~10%、学童期の1~3%が食物アレルギーと考えられています。食物アレルギーの抗原は主に食べ物に含まれるタンパク質で、乳幼児期には小麦や大豆、鶏卵、牛乳などが、学童以降では甲殻類や果物、そば、魚類、ピーナッツなどの原因に変わっていくという特徴があります。
食物アレルギーの症状は身体のどこかだけにあらわれる場合もあれば、全身に複数の症状があらわれることもあり、この状態を「アナフィラキシー」と呼びます。皮膚症状(じんましん、ほっせきなど)、消化器(腹痛、下痢、嘔吐など)、目(充血など)、呼吸器(くしゃみ、鼻水、咳、呼吸困難など)、神経(頭痛など)があらわれます。上記の症状が強くあらわれて、さらに血圧の低下や意識障害などを伴う場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、生命の危険にまで及ぶことがあります。
食物アレルギーの主な治療には、症状が出ないように原因となる食品を除去する「除去療法」と、症状が出てしまったときに症状を改善させる治療があります。
ショック状態に陥ったらアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を打ってすぐに受診する必要があります。
福岡県教育委員会では、学校等で児童生徒に食物アレルギー症状が出現した場合に円滑な対応ができるよう、「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」を作成しています。
日本アレルギー学会「アレルギーポータル」について
アレルギー疾患に関しては、インターネットなどで情報があふれているため、適切な情報を選択できるよう、厚生労働省の補助事業として、一般社団法人日本アレルギー学会が運営するサイトにおいて「アレルギーポータル」が作成されました。
ここでは、アレルギー疾患に係る基礎的な情報や、アレルギー学会が認定している専門医の検索等が可能になっています。
・ 日本アレルギー学会「アレルギーポータル」(新しいウインドウで開きます)
また同サイトでは、一般の皆様向けに、アレルギーの各領域で最も関心が高いと考えられる基本的なテーマについて、動画集が掲載されておりますので、ぜひご覧ください。
・ アレルギー動画集